人にはどれほどの土地がいるかパホームはパシキールの村長に言った。 「わたくしが聞きましたには、こちらに商人がひとり来たということでございます。 あなたがたはその人に地面をおあげになって、登記証書をおつくりになったということですが、わたくしにもそうしていただきたいと思いますので。」 村長はいさい了承した。 「ええ、そんなことはみんなおやすいご用です、書記がおりますから街まで行って正式の手続きをいたしましょう。」 「それで、土地の値段はどのぐらいにしていただけましょうか。」とパホームは言った。 「わたしどもでは、値段は均一になっております、一日分千ルーブリです。」 パホームにはちょっとのみこめなかった。「と、申しますと、どういう測りかたなのでしょう。」 村長は言った、 「いつも一日いくらで売ってあげることにしているのです。つまり、買いたい人が一日歩いてまわっただけを売って差し上げるということです。 それで、一日千ルーブリということになるのです。」 パホームは驚いた。 「一日歩き回るとなると、ずいぶんな地面になると思いますが。」 村長はわらいだした。 「ええ、それが全部あなたのものになるのです。」と村長は言った。 「ただ、ひとつ条件があります。もし一日のうちに出発点まで帰ってこられないと、あなたはすべてふいになるのです。」 翌朝、パホームはシハンの丘から出発した。 《一分だって時間をむだにつぶしちゃならんぞ。少しでも涼しいうちに歩くほうが楽だろう。》 ふりかえってみると、丘はもうかすかになって、その上にいる人々がわずかにそれと見えるだけであった。 そろそろ曲がろうと思っていると、じきそこにしっとりと湿った窪地があった。 見捨てるのが惜しいくらいのところであった。 彼は考えた。 《あそこなら亜麻がよくできるだろう。》 そしてまたまっすぐに進んだ。 トルストイ民話集より |
短評 典型的な負けパターンです。 腹八分目でも勝ち逃げを心がけましょう。ってえらそうに人に言えるわけではありませんが。(笑) |
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